キュウリの血と肉

モッス・カプロョモール・エニスポラ

逆に、大鰐線しか使えない状況に陥ってみる

ついに。やっと。ようやく。満を持して。大鰐線の電車が走らなくなるらしい。すごい。よくここまで粘りました。運行休止後、困る己の姿が全く想像できません。大鰐線自体は好きですが、最寄駅が大鰐線にありながらほとんど乗っておらず、その休止を悲しむ権利がありません。大鰐線を最後に使った日がいつなのか、はっきりと思い出せないことからも確かです。

大鰐線の使いかた

もはや手遅れですが、大鰐線をどのように使えば便利なのか、少し考えてみましょう。

いきなり身も蓋もない話をすると、大鰐線に乗ることなく沿線を移動する選択肢は、なかなか豊富に用意されています。大鰐・弘前間はJRや弘南バスがあり、所要時間はバスと大鰐線でどっこいどっこい。大鰐線が遅過ぎです。大鰐・石川間では三者がほとんど並行しています。大鰐線が特に便利と言えるのは、目の前に駅がある石川のプールくらい。

かなり前に拵えた図。状況はさほど変わっていない

石川でバスが離れると、松木平までは競合がないように見えます。石川のひとつ弘前寄りにある義塾高校前の駅は、通学の便宜を図り、朝夕はメニメニ学生で混雑してもおかしくありませんが、アー!近くにJRの石川駅がありますよ(泣)JRと大鰐線石川駅は離れており、義塾高校前駅の真下にJRの駅があります。弘前駅、また以遠より学生を詰め込む仕事はJRに譲っています。ざんねん。それでも、弘前市南部からの輸送は大鰐線が担っており、ある程度の混雑はあります。

東奥義塾と大鰐線

つまり、真の単独区間は義塾高校前~松木平ということになります。大沢地区の小さな人たちは石川の学校へ通うため、津軽大沢と石川の間には極めてささやかなラッシュがあります。大沢の町内から石川への道がコチャコチャしており、ここばかりはバスより電車に軍配が上がっている形。でも、駅前を集合場所にして石川学校までのスクールバスを転がしたら、全てが解決しそうな気もします。大沢は駅近にトマトの直売があってオススメ。

いつでも人が乗っていない、というわけでもない

津軽大沢の次は松木平ですが、ここからバスが元気に転がり始めます。松木平・小栗山間に弘南バスの弘前営業所があり、弘前駅行きの便がたくさん出ています。途中の三中校前停留所と、近くにある弘前学院大前駅の本数を比べれば、悲しくなる一方。これ以上はやめておきましょう。しかもバスは弘前駅に行けるときた。弘前学院大学駅の待合室を兼ねた生協の店内には、弘前市中心部へはバスが便利である旨の案内があります。親切!

"弘前学院大前駅から弘前市中心部への移動は『三中校前バス停』が便利です"

便利ですよね

いっとき、千年駅周辺の住宅地を巡る乗合タクシーの実証運行がありました。千年駅から広野・安原・泉野といった地区を転がり、千年駅に戻ってくる経路です。電車の発着に合わせて運行し、乗り継ぎ利用で運賃がお得になりました。

千年駅で待機する乗合タクシー

ただ、それを使って大鰐線に乗り継いだところで、行けるところが中央弘前なんですよね。その後、運行経路の中心たる安原と健生病院・弘前駅・城東方面を結ぶバス路線が開設されました。特別な運賃体系で分かりやすくするおまけつきです。いいね。

城東安原線。大鰐線では行けない城東方面へ容易にアクセスできる

聖愛中高前という駅がありますが、あんまり前ではありません。1km弱離れています。むしろ弘前実業高校の方が近い。近隣には他にも柴田学園高校や弘大附属小中学校があり、大鰐線が輸送に活躍しそうですが、しません。大鰐線をガン無視し、朝には各地から聖愛高校・附属小学校を目掛けて弘南バスが飛んできます。弘前駅はバスを待つ学生でごった返します。

大鰐線で通う人もある

帰り時間帯の附属小スクールバス。この通りに沿って大鰐線が走っている

弘南鉄道では、弘南線沿線からこの辺りの学校に通う学生を対象に「ぴょん2定期」という定期券を発行し、弘前東高前駅から聖愛高校までのバスに乗り継ぐことができました。2022年度末に廃止されましたが、大鰐線は蚊帳の外。弘南線の乗車区間をひと駅伸ばすか、置きチャリで通うまでです。

最後まで「東工業駅」だった

弘高下は、朝夕ちらほらと学生があり、駅前にはぽつぽつ自転車が駐められています。弘前高校は坂を登ってすぐの所にあるため、アクセスはなかなかよさそう。

快速があった頃の「通過列車に注意」が残っている

中央弘前の場所がよくない。弘高下付近から土淵川に沿って走ってきた電車は、城下から羽州街道へ通じるBIG商店街・土手町に片足突っ込んだ程度の地点で突然停まり、乗客はなんともいえない谷底に放り出されます。近年ロータリーが整備され、少しはよくなりました。土手町の通りに直結する通路か駅舎なら少し違ったのかもなあ、と思うことはあります。

中央弘前

そもそも中央弘前自体がよくないといわれれば、頷かざるを得ません。大鰐線松木平の辺りから弘前駅へ向かう計画であったところ、用地買収に難儀したため中央弘前を終点とした経緯があります。弘前駅~城東地区の発展著しく、中央弘前駅周辺のパワーが低下して久しい今、わざわざ大鰐線に乗る理由探しには難儀します。

先述した千年駅周辺の乗合タクシー実証運行と同時期、中央弘前弘前駅間の乗合タクシーも実証運行されていました。これは結構便利で何度か利用しましたが、使用されたワゴン車が満席になるほど乗っていたことはありませんでした。逆に、電車にワゴン車の定員より少ない人しか乗っていない、ということはよくあります。

2両目は往々にしてすっからかん

実証運行終了から数年が経ち、駅前ロータリーの整備に伴い中央弘前駅前バス停が(ロータリーではなく路上に)設置。おおむね1本/時の通過があり、最低限の便数が確保されています。中央弘前弘前間は、歩けば20分強です。

バスを入れるには狭すぎる

医療機関にかかる時、大鰐線は使えるでしょうか。大鰐病院は、弘前・大鰐・碇ヶ関を結ぶバス路線沿いにあります。大鰐駅からは遠め。石川駅前には、くどう内科消化器・肝臓クリニックがあり、これにかかるなら電車とバスが使えます。

弘前市内の大きな病院には、総合医療センター・大学病院・健生病院などがあります。国立と市立を併せた総合医療センターは弘高下が最寄ですが、行き来には坂を歩かなければなりません。センターの目の前をバスがしこたま転がり、敷地内に乗り入れる便も存在しています。

路上に標柱がある時期もあった。いずれにせよ、大鰐線より便利に使える

大学病院は、中央弘前で降りれば行けそうです。中央弘前の駅から土手町の通りに出て、蓬莱橋バス停から土手町循環に乗れば、大学病院構内まで連れていってくれます。

ただし、簡単には帰って来られません。土手町循環は、弘前市中心部を10分間隔でグルグル廻っているSUPERお便利路線です。問題は、土手町が一方通行ゆえ、片廻りのみであることです。他の路線も、バスターミナルや弘前駅発は土手町を、ターミナル・駅行きは中央通りを主に経由します。大学病院や市役所などから中央弘前へ戻るには、ほとんどの場合いったん弘前駅ないし弘前バスターミナルを経由する必要があり、わざわざ大鰐線で中央弘前に出るメリットが削がれています。

土手町を走る土手町循環。奥の信号より手前が一方通行になっている

健生病院は、弘南線の運動公園前駅の南にあります。弘前駅・健生病院・安原を転がるバスに千年駅まで来てもらえれば、まあ、というところ。来てもらえれば。来ませんよ。

大鰐線を無理やり使う

なんだか書いててしんどくなってきました。ものすごい勢いで書けていることが、余計にしんどさを増します。粗探しをしてあげつらうわけではなく、見えてる地雷をひとつひとつ丁寧に踏むだけです。

これ以上考えても無駄です。なるようにしかなりません。こうなったら、もうやけです。大鰐線しか使えない状況を無理やり考えて、その通りにしてみましょう。

大鰐線の駅が近いところで

大鰐線以外の手段で移動できず

③徒歩では帰りづらい距離

のスポットを考えます。弘前市街は徒歩や自転車でもよいため不適、大鰐温泉はJRで帰れるため不適、石川の花の湯は吹雪の中30分歩いた苦い記憶が甦るため不適……。

 

絞り込みを進めると、その選択肢はほとんどひとつに定まってきました。鯖石ドライブイン・通称鯖ドラです。

鯖石駅から徒歩10分弱のところにあり、ドライブインという名前が示す通り国道7号線沿いに建っています。ドライブインを名乗る割には、お酒のメニューがやたらに充実していることで知られています。個人的には半ラーメンが大盛りにできる意味不明なセットが好き。ここで飲酒をして、大鰐線で帰ってこようという目論見です。

近くには弘南バスの上鯖石バス停もありますが、弘前方面の終車は17時23分。昼間なら自転車チリンチリン、大鰐線ガタゴト、弘南バスプップ~ですが、夜ごはんをここで摂るならば、バスで帰ることはできません。また、お酒を飲むので自転車もダメ。パトカーウ~ウ~。

さらに、歩きで帰れば2時間半はかかります。ほどよく酔ったゴキゲン状態に、晩秋の夜をひたすら歩くという行いはあまりにも堪えます。これはもう、大鰐線に乗るほかありません。

4人乗っていた

アレ!?もう大鰐線を離れています。電車に間に合いませんでした。大鰐線は中央弘前を毎時30分、バスはターミナルを毎時00分に出るため、電車を逃したらバス停、バスを逃したら駅を目指すと吉です。出鼻をくじかれても、スペアの鼻があって安心。弘前方面の終車時刻は過ぎていても、碇ヶ関行きはまだあります。

歩道がある +754836547826pt

上鯖石で降車。ドライブインまでの道のりは鯖石駅よりも短く、同じ国道上ですから容易にアクセスできます。どんどん大鰐線のうれしいポイントが削がれていく。なんだこの記事。

バス停から5分と歩かずに鯖ドラ着。

人気のお店。駐車場には結構な台数の車が駐まっていた

黒石市二双子・奥瀬商店で作っているお豆腐を頼みました。奥瀬商店は二双子温泉(二双子共同浴場)の入浴券を売っているため、何度か出入りしています。

トロッとしていておいしい

お豆腐を作っている奥瀬商店

鯖石18時58分発の大鰐行きがお店の脇を通過しますが、ひとりも乗っていません。すごい。いつもこんな感じです。

豊盃の「ん」を呑みます。全てをじょっぱりにするお猪口でいただきます。そういえば、12/1にじょっぱりが復活します。うれしい。

mutsushimpo.com

亀吉ものみます。こんな状態で12kmも歩いて帰っては、途中で行き倒れること間違いなし。おとなしく電車に乗りましょう。麺食べて帰ります。

じょっぱり(ん)

こういうのでいいんだよ

国道から脇道に入って鯖石駅へ。特に案内はありません。

街灯があって明るい

案内板を立てたところで、いったい誰が案内されるんだ、というところではあります。石川や弘前学院大前(西弘前)など、案内板に従えば辿り着ける駅も存在しています。

ただし、弘前学院大前の文字はない

20時35分発の中央弘前行きは、案の定すっからかんでやってきました。こんな時間に郊外から都心へ行く電車が空いているのは当たり前ですが、それにしても空いています。

だれもいない

金魚ねぷた列車やりんご畑付近での徐行運転など、観光客向けのサービスが取り上げられることの多い大鰐線ですが、もちろん沿線住民向けの施策も怠ってはいません。大鰐線生活応援きっぷ「わにサポ」が展開されています。

往路利用の下車時にわにサポを受け取り、施設で捺印してもらえば、復路の運賃が100円になる仕組みです。車内の掲示では、中三弘前店でわにサポを提示すればポイントが3倍になる旨が案内されていますが、もう中三弘前店はありません。

わにサポ

結局、最寄り駅で降りるまで誰も乗りませんでした。この時間帯の大鰐線は、いつもこんな調子です。

 

おしまい

最後までネガティブ全開なしょんぼり記事になってしまいました。でも、無理に便利な点を捻り出して、妙にポジティブな内容にするのは嫌です。そんなに便利な点を挙げられるなら、もっと使うべきだったし、使えたはずです。

大鰐線の沿線は開けていて、特に中央弘前・千年間は家々の間を縫うように走ります。人はたくさん住んでいます。車もたくさん走っています。バスも多くの人を運んでいます。大鰐線だけが何もできずに浮かんでいます。地域から弾き出されているような気さえしてくるのです。こんなに人がいるのに。賑やかなのに。電車だけがぼんやりしています。運行休止の報を見聞きしたとき、ああ、やっと許されたんだ、と思いました。

自宅の窓を開ければ聞こえてくる大鰐線の音は心地よいものですが、沿線へのBGMサービスは電車本来の仕事ではありません。ほとんどからっぽの電車が行ったり来たりして発せられているならば、いっそ鳴り止んでくれと思っていました。そのため、こんどの運行休止発表には納得し、安心さえしています。

 

すごくじめじめしちゃった。中央弘前駅近の宿泊施設は結構ありますし、大鰐温泉に泊まるのもよいです。みんなも大鰐線で鯖ドラから帰ろう~(おわり)

たまごもたべましたよ

もつ煮もうれしい

西弘で飲んで、中央弘前か大鰐の宿に帰るのもいいですね



ISFありがとうございました&また新刊が出ますよ


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11月17日(日)に開催されたISF13にて、『木下ひなたさんの壮瞥町りんご大使おめでとうの本2024』を新刊として頒布しました。多くの方にお求めいただきありがたい限りです。帰りは荷物を軽くして帰ることができました(往路比)。

流通センターからバスで平和島に出、共著者・ぱにろくとささやかな打ち上げをしました。日高屋は近所にないため、上京時の選択肢に入ります。平和島日高屋、oba3がプチ喧嘩をしており良かったですよ。
帰りの電車で今夜乗る夜行バスを確認していたところ、何かがおかしい。メールボックスに予約確認メールがありません。楽天トラベルを確認しても、予約がありません。たまたま発車オーライネットで取ったかと思いましたが、そういうわけでもありませんでした。完全に予約がありません。取り忘れています。
そこで、一旦新千歳空港へ飛ぶことにしました。千歳から南下して弘前へ戻ります。壮瞥へのお礼参りも兼ねられます。OKプランにもほどがある。

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しかし、遂行には大きな壁が立ちはだかっていました。函館線が貨物列車の脱線で止まっており、壮瞥からの帰りに超絶難儀するのです。途中の長万部からは代行バスに乗らなければなりません。帰路と壮瞥訪問を兼ねられることに意識が向きすぎて、二人して気づいていませんでした。
これは結果として吉と出ました。普段、壮瞥から弘前に帰るには、伊達紋別を18時半ごろに出る特急に乗る必要があります。これに間に合う壮瞥発のバスは、今年の10月まで18時発でした。しかし、10月改正でこれが削減され、17時過ぎには壮瞥を発たねばならなくなりました。市街にある居酒屋「ひさご」の開店は16時半ですから、30分程度の滞在でそそくさと帰らなければなりません。

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それが、この日に限っては18時半過ぎ発の終バスで伊達に出ても良いことになりました。特急の遅れが確定していたため、17時過ぎの便の乗る必要がなくなったためです。この区間のバス代行は以前にも経験しており、函館駅で3時間ほど待ったのち、一般道をとろとろ転がった苦い記憶が甦りましたが、たまにはいいこともあるものです。
新千歳空港から室蘭行きの高速幕府で東室蘭へ。伊達までJRで行き、タクシーで壮瞥に入りました。雪が舞っています。前日の東京は20℃を超えていました。

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市街(滝之町)の北端・阿波国バス停で降り、お世話になった果樹園・施設を巡ります。献本させていただいた中には、店頭で展示、また配架(これは町図書室)してくださるところもあるようですから、壮瞥を訪れた際に探してみてください(画像はヨツカド商店さん)。

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『〜おめでとうの本2024』は一応「ひなた本」ということになっていますが、中身の大半を壮瞥町そのものに関する記述が占めています。「火山に生きた郵便局町 三松正夫とその周辺」では昭和新山の記録で一躍有名になった三松正夫と、彼の周りにいた人々を紹介を取り上げていますし、「壮瞥のりんご、いままでとこれから」は壮瞥町の園芸作物生産史を簡単に追いかけることができます。ひなたPの皆さんにはもちろん、壮瞥の歴史を知りたくなった人にもおすすめ。そういう意味では「壮瞥本」でもあり、そのバランスを取るのがメチャンコ難しい本でした。
そういえば、10月に投稿した記事の続きも『〜おめでとうの本2024』に載っていますよ♨(ブモグ上で更新できずsumimasen)

 

さて、壮瞥本はC105(冬コミ)でも頒布があります。
1日目:西は35a・えっぐぱにーの
2日目:東ピ36b・キュウリの血と肉
にてお待ちしております。

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壮瞥本と並行して、『徘徊通信別冊 垳の号』を制作していました。C105新刊として頒布しますが、明日の11月23日(土)に八潮メセナ・アネックス(つくばエクスプレス八潮駅すぐ)にて開催される「第7回 方言漢字サミット」にて先行頒布を行います。

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「垳」を守る会 【再掲】「第7回方言漢字サミット」開催/オンライン配信情報
八潮市垳の本 垳ときどき桁?』(2022年12月発行)に続く"垳本"第二弾。特集は「方言漢字ウォーキング」。2023年10月29日に開催されたウォーキングイベントの模様をお届けします。コース周辺の歴史やオススメ立ち寄りスポットも紹介。
今回はすくとり(逍遥倶楽部)・kT(孤独を知る街)両名に共著を持ちかけ、3人で1冊の本を拵えてみました。すくとりさんは千住・荒川に関する骨太な章を、kTさんは立ち寄りスポットに関する軽やかな筆致の章を主に担当しました。39MLは道中概略と下妻道・水戸脇街道の章を拵えています。三者三様の脳みそが回転し、三者三様の文章が出力されました。いい感じ。これはウォーキング中も同様で、同じ景色を見ているのに、捉え方や着目するポイントはそれぞれ異なります。
巻頭には「八潮の地名から学ぶ会」事務局長・昼間良次さんの寄稿を掲載。2月に開催された「垳サミット」の報告や、現在の垳を取り巻く状況を解説いただきました。

 

壮瞥本ともどもメロンブックスでの通販予約が始まっています。在庫が切れていた徘徊通信既刊『春分の号』『芒種の号』も増刷・追納しました。あわせてよろしくお願いします♨

https://www.melonbooks.co.jp/circle/index.php?circle_id=101993
(おわり)

今年もある!そうべつりんごめぐり(前日編)

ある!

idolmaster-official.jp

行く!

 

(昨年の様子)

39ml.hatenablog.jp

青森→伊達

10月13日(日)より始まりますから、前日入りすることにしました。

青森23:30発だとド深夜の函館に放り出されてしまうため、2:00発がちょうどいい

11日(金)夜、居酒屋の女将さんにフェリー乗り場まで送ってもらい、12日(土)2時発の青函フェリーで函館へ。乗船開始から下船までおよそ4時間半。乗った瞬間布団に入らなければ、翌朝以降の滅亡が約束されます*1

 

函館からはJRで伊達紋別へ向かいます。かなりおかしい割引をする「トクだ値60」*2を掴んでいたため、特急券込みで2,540円。おかしい。

安すぎですよ

20年ぶりに伊達の海を怖がる

電柱でござる

まったく快晴でOKお天気。伊達の駅から有珠山もよく見えています。伊達から大滝ゆきのバスに乗り、壮瞥市街を目指します。ただし、バスは11時発。1時間の空きがあります。

駅の正面から山手へぽろぽろ歩いて伊達の都会ぶりを感じるのもよいですが、それは幾度となくやっています。そこで、跨線橋を渡り、海を見に行くことにしました。

記憶の中に広がる浜辺と完全に同じでびっくりした

記憶をなるべく掘り起こしてみたとき、もっとも底に埋もれている海が、伊達の海です。祖父の知り合いに連れていってもらったはずです。曇りの日でした。

は? ずっと地面がなくて果てしない池がある? 海の意味が分からず、砂地を見ていました。そのころ、大量の水を目撃できる場所といえば近所の水源池くらいなもので、それ以上に大きな水を知りませんでした。オカヒジキが生えているのを教えてもらい、水に触れるのはそこそこにオカヒジキを触っていた覚えがあります。

ちょっとこわいです

札幌にも、与野にも海はありません。父が山の人ですから、連れられていけば海に背を向けることになります。ますます海を見るきっかけがありません。

ずっと海に対する恐怖、あるいは意味の分からなさを抱えています。フェリーで外をあんまり見ないのもそのためです。20年ぶりに伊達の海を歩いても、やっぱり意味は分からなかったし、少し怖くて砂とそこに転がるものたちを見るばかりでした。

また来て怖がりますよ、たぶん

再会!りんごを狩るりんご

駅に戻ってバスを待ちます。伊達駅前停に来ていた市内循環が大滝行きに変わると思い見ていたところ、そんな素振りも見せずにどこかへ行ってしまいました。

11時をちょっと過ぎて伊達駅前に入ってきた回送車が行先を大滝に変え、それに乗り込みます。

突入

村界停を過ぎて壮瞥町に入り、農協前停で降車。停留所の裏では、小学校の隣に中学校を新築しています。小中の校舎が渡り廊下で繋がりいい感じ。

完成すれば、小中一貫教育しやすくなりそう

あ!そうべつくだもの村のマスコット・りんごを狩るりんごの看板と再会しました。こんにちは。

「地域のあそびば ミナミナ」前に顔はめ看板も設置されるなど、今年はかなり注目されている感があります。Tシャツ売ってるし。幟もあるし。農協ではアンパンマンさんがりんごに衝突しかけていました。お気をつけあそばせ。

再会!りんごを狩るりんご

恐怖!りんごに狩られる筆者(2024/7/6)

あぶないよ

かわいいね

これは壮瞥市街にこんどオープンした熊のお店「KIOSK EPERE」で売っている『間違い探しマッチ』。表裏で10個の差異があります。難易度やや高で楽しい♨

 

火山を見る

ところで、今年の「そうべつりんごめぐり」では、果樹園群に加え、町内の有料入館施設を利用してスタンプを捺してもらうこともできます。そのうち、壮瞥町郷土史料館・横綱北の湖記念館は壮瞥市街近隣にあってアクセスしやすいものの、昭和新山熊牧場・有珠山ロープウェイは公共交通でのアクセスに難儀があり、過去2回の訪問も人の車やタクシーにより行われました。

洞爺湖畔を転がる昭和新山ゆき

しかし! ついに! 10月1日から洞爺駅~洞爺湖温泉~昭和新山のバスが転がり始めて助かっています。一昨年のGW、昨年の夏~冬と細切れに運行していますが、こんどは定期運行になる様子。壮瞥市街からだと乗り換えが必要*3ではあるものの、7往復/日あってニッコリ。なおそれ以外の減便

昭和新山停と昭和新山

ほどよい辛さ

ロープウェイ山麓駅に直結のレストラン・噴火亭で火山ラーメンを食べて有珠山頂へ。ちょうどバスツアーの到着と被ったため、有珠山ロープウェイはしこたま人並びしており、臨時便を生やしていました。通常6分で動いて9分で折り返すところ、1~2分でそそくさと折り返して便を増やしています。

ワァ~

山頂駅の傍「Mt.USUテラス」で壮瞥の紫蘇を使ったソフトクリームを売っています。辛いラーメンを食べた後のお口直しにいい感じ。

赤紫蘇は壮瞥町、隣の洞爺湖町で結構作られています。紫蘇味の何らかだいすき。壮瞥からの帰りにも紫蘇サイダーを飲みました。

Mt.USUテラスはカフェと景色のよいぼんやり場所がセットになっており、だいぶぼんやりできます。この時期だと気温はやや低いものの、陽射しがあればかなり暖かです。

おいしいよ

山麓へ降りるまでのわずかな時間を見つけて、ちょっとだけ歩いて銀沼火口を見ます。昭和52年(1977)~翌53年の噴火では、山頂部の銀沼付近より噴火し、噴火の過程で4つの火口が合わさり「銀沼火口」と称されるようになりました。

手前の展望台で多数が引き返すため、ロープウェイの賑わいが嘘みたいな人の少なさ

Mt.USUテラスでのぼんやり時間を考えると、1時間で下へ降りる場合には銀沼火口までが無理なく見られる範囲な気がします。履物次第では有珠山火口原展望台*4で留めておいてもよさそう。

有珠山火口原展望台より、有珠山洞爺湖壮瞥市街~昭和新山

さて、有珠山昭和新山を見る上で、ぜひ立ち寄りたい施設が山麓駅付近の土産物店群に並んで建っています。三松正夫記念館です。

昭和19年(1944)に始まった噴火に伴う昭和新山形成をつぶさに観察した、壮瞥郵便局長・三松正夫の功績を称え伝える記念館であり、彼の生涯を軸に昭和新山の生い立ちを追うことができます。300円の入館料を払う価値は十二分にありそう。ここで冊子を7種買うなどしたため、荷物がかなり増えました。

ちょっとだけ奥まっている

昭和新山至近に建つ三松正夫像。「麦圃生山」の文字がある

実際の観測点と昭和新山(2024/7/6)

茶そばに到達する日

昨年の幟が飾られている

町唯一の居酒屋「ひさご」の開店時間に合わせて壮瞥市街へ戻ります。昨年の壮瞥訪問ではかなりお世話になりました。

7月に寄りたいところでしたが、休業日とたまたま被ってしまい、およそ1年ぶりの訪問です。おさしみサービスBIG KANSYA……。制作した本も置いてあってBIG KANSYA……。

^-^

^-^-^

^-^-^-^

天丼などのしっかりお腹に入るメニューもあり、呑まずとも楽しめるお店です。が、呑みます。

メニュー表には国稀しか記載がありませんが、日本酒がさまざまに置いてあります。記憶にある限りでは、杜来(弘前)・陸奥八仙(八戸)・賀茂鶴(東広島)を頼みました。大将はお酒を飲まないので、お客さんのリクエストに応えて置いているそう。

たぶんこの時は八仙を吞んでいる

最終的に居合わせたoji3と話が弾み、ウイスキーをお供にワチャワチャしていました。

筆者はカウンターに陣取っていましたが、座敷ではプロデューサー集まりが開かれており、なかなか楽しそうでよかった。

今回、茶そばに辿り着きました。ついに。前回はバスの時間が迫って食べられず、前々回はoji3がたとずっと喋っていて食べた記憶がありません。やっと食べられてよかった。強くおすすめします。そういえば、ピザもよかった。しかし、写真を撮りはぐっています。

oisisugi

同席したフォロワーさんに宿まで送ってもらい、この日はおしまいです。

翌日はいよいよりんご大使就任式。そして、そうべつりんごめぐりがスタートします。

つづく(本当?)





 

*1:青函フェリーの新しい船は雑魚寝料金でドライバーズルームの布団に入れる

*2:特急トクだ値スペシャル21。運賃・料金ともに60%割引となる。この秋は10/11~10/17、11/1~11/7に設定

*3:壮瞥市街から洞爺湖温泉へ向かう路線とは、洞爺湖温泉~壮瞥温泉で重複している

*4:山頂駅より徒歩7分

【ざんねん】C104の新刊はありません【sumimasen】

 

タイトルの通りです。かなしい。

体調が派手に崩れています。数時間かけて起き上がり、むにょむにょを食べ、時々インターネットに顔を出し、外出と言えばせいぜい病院に行く程度のしょんぼり生活。これでは本が作れません(;o;)

昨日あたりから回復傾向にありますが、これから間に合うよう作業を進めるパワーに欠けています。松屋に行って固形物を食べるなど、生活をちゃんとしてから本を作ります。

夏との相性がすこぶる悪く、例年6~7月に大きめの不調があります。しかし、今年は質が違いました。例年のそれは身体のどこそこに少しずつ重石を載せられているような心持ちになりますが、今年、というか7/25頃からはすごい。胃は入ってきた食べ物を打ち返すし、特定の事物について考えれば冷や汗で濡れ雑巾になるし、眠剤が変に効かなくて悪夢は見るし、連絡を返そうとして机に数時間張りつくも結局返せないし、お風呂以外の全てをキャンセルする羽目になるし、とにかくすごい。

ここ数ヶ月の39MLは元気過ぎて不安だったものの、元気過ぎるくらいでようやく人間になるため、それはそれでいいのかなと思っていました。実際は全くだめです。しかし、ちょっと無理をしてでも人間の形をしないと生活はむつかしい。毎日程よく無理をして、ときどき程よく壊れる必要があります。

 

既刊については『徘徊通信』2種をコミケ初出として持っていくほか、昨秋に出た『青森りんごジュース約100点』(発行:しらゆき創作工房)も頒布します🍎

2日目㈪東パ21ab「定礎マップProject」にいます。キュウリの血と肉ではない!お気をつけあそばせ。人間と本のどちらも行くタイプの委託です。

39ml.hatenablog.jp

 

己の新刊ではありませんが、合同誌『旅情紀行』は出ます。「こんばんは、朝死んだ鮒」と題して言い訳を寄せました。
(超絶ざっくりしたあらすじ:猫は光って鮒は死に、梶井基次郎は墓をひっくり返される)

 

2日目㈪東ノ38b「予告デッドボール」にて🙂

 

新刊は『徘徊通信』のVol.3でした。

これは明らかに夏出さないとおかしい見た目と内容なので、もし夏中にできたら通販をします。できなかったら来夏に持ち越して内容を分厚くするつもり。最近は夏が延び延びになっているから何とか出せそうではあります。がんばりませんが、がんばります。

(おわり)

壮瞥町からもらった宿泊券でサンパレスに泊まる日(ナス多め)

昨年の晩夏に買った無印良品の漁民パンツが本領を発揮しています。山登りや藪漕ぎの可能性がある日以外、夏の全てをこれで乗り切りたい。気楽にもほどがあります。

それはそうと、7月14日(日)・15日(月/祝)の2日間、壮瞥にいました。そうべつりんごめぐりで当たった(!)宿泊券を使うためです。りんごめぐりの様子は☟を参照ください。

39ml.hatenablog.jp

人力のアヒルちゃんになった

宿泊券の対象施設は洞爺サンパレス。BIG LAKEのほとりでBIG BIG SPABIG BIG BIG POOLが楽しめる嬉施設(うれしせつ)です。

湖上より

ここはお風呂の遊園地~ なんてったって宇宙一~ 脈絡もなく狂ってなどいませんよ。これはサンパレスのCMソングです。

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ミニミニ動物の時分にテレビでCMを見、駄々を捏ねて連れて行ってもらいました。駄々では足りません。駄駄駄駄駄駄駄駄駄駄くらい捏ねました。時として、思い出は誇張の上で記録されます。あんまり信用なりません。駄々々々くらいだったかも。

プールでたっぷり遊んだのち、大浴場をどっぷり満喫し、長湯のあまり親がド心配。この手の施設をいたく気に入り、同じ系列のラグーン(定山渓ビューホテル/札幌市南区)にも行きました。

 

ラグーン!スッoヲゥ$シホフcレiォァ(ナレーションが被って聞き取れないことが多い)ァ~ア~~ア~~~ ラグーン😁水の王国!ラグーン😔 脈絡もなく狂ってなどいませんよ。これはラグーンのCMソングです。

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(頭のラグーン!直後は「いつでも真夏」と「定山渓ビューホテル」の少なくとも2パターン以上ある?)

 

回顧はこれくらいにしておきましょう。ペアチケットが届いたので、既刊『木下ひなたの田舎を探ろう!』『木下ひなたさんの(祝!)壮瞥町りんご大使おめでとうの本』の共著者・ぱにろくさんを呼びました。

ぱにろくさんは釧路在住ですから、お互い朝に家を出れば、ちょうどよく昼に着きます。JRの洞爺駅で集合し、バスで転がって洞爺湖畔を目指しました。

 

サンパレスには昨年の11月にも泊まりましたが、肝心のプールが工事でお休み。最近は新しくなった大浴場で売り出しており、それだけでもかなり楽しめましたが、やっぱりサンパレスではプールに入りたい。何をするでもなく水に浮かんでぼんやりしたい。

前回のサンパレス(2023/11/24)

もちろん、その上で、大浴場でもお湯に浸かってぼんやりします。ぼんやり放題。朝食バイキング、夕食バイキング、ぼんやりバイキング。道中ぼんやりするアヒルちゃん。貴様に決めた!

謎指名に応えてくれるoji3

湖上から船だの島だのを撮ろうと目論んで、小学3年生ばりに言うことを聞かない舵をなだめつつペダルを回します。エンジンつきのボートもあったのに、アヒルちゃん先行で決めたため、トラディショナル・ボート。完全に人力。

Schweizerische Eidgenossenschaft?

思いのほか遠くまで来てしまい、返却時間に間に合う気がせず必死で漕ぐふたり。さらに、似たようなボートのりばが点在しているため、目標を誤りました。あんまりぼんやりしていません。まあ、これはぼんやりの下準備と考えればよいでしょう。サンパレスに着く前に、ぼんやり以外の全てを済ませておく必要があります。

ただし、確実に爽快ではあった

ひたすら水にいます

歩いて町境を越えれば即サンパレス。宿泊券にはお部屋の指定がないため、チェックイン時に知ることになります。

カントリーサインのマグネットは道の駅で買える

最上階の鍵を渡されてワ!

エレベータの真ん前にその部屋があってワ!!

靴脱いで上がれてワ!!!

(当然、窓からは洞爺湖が見えます)

もう一人寝られそうでワ!!!!

今すぐ寝たい。プール明日とかになりませんか? 3泊くらいできませんか? だめか……

液体になって動物としての形を保てなくなる前に、プールへ行きます。プールで液体になります。

直球ネーミング

水に浸かれる場所は全般好きです。温泉巡りを趣味としているものの、温泉そのものを目的に巡っているというより、水やお湯に身体を埋めても怒られない場所を巡っているのかもしれません。沸かした水でもOK。沸かしてなくてもOK。

外出中に一刻も早く肌を水で覆いたい! という衝動が芽生える時があり、そのために温泉施設はあります。本当かな? 普段暮らしている津軽だと、プールより温泉の方がよっぽど多いため、プールに行って解消すべき欲を温泉で代替している感があります。

終始浮き輪でぼんやり浮いていました。時折泳ぎましたが、基本的には波を待ってみたり、浮き輪に座ったままボールを蹴ってみたり。最終的には小さな流れるプールで本当に何もせずぼんやりしていました。ナマケモノ精神旺盛ですから、浮き輪に座ったまま腕だけ水中に突っ込んで行先をコントロールする術も会得しました。

小さな流れるプールの内周には、さらに小さく浅く流れるプールもありますが、ここでは気を抜くと座礁します。浅過ぎる。底には狭幅の溝があり、座礁するかしないかのギリギリを攻めると臀部が溝に嵌って勝手に進行方向が決まります。ガイドウェイ動物。おしリートライン。

 

もちろん大浴場にも行きます。昨年は吹雪の中で露天風呂に入り、視界ほぼゼロの極小パノラマを楽しみました。レイクビュー以前に全部真っ白。対して、きょうはよく晴れています。

サウナの入口にあるレモン水がおいしい

露天風呂へ行くのに、冬場は脱衣所・シャワー・内風呂と3つの扉を経ます。

どうして水浴びゾーンとちゃぷちゃぷゾーンを扉で隔てているのか判りませんでしたが、今回その謎が解けました。

夏場は内風呂と露天風呂の間の壁(ガラス戸)が全て解放され、サウナを除く内風呂全体が半露天状態になります。シャワーまで吹きっさらしだと外気をモロに受けて冷えるため、そこに扉が必要だったのです。

 

やはり、ここの大浴場は夏、それも視界の開けた日に入るべきでした。冬は冬で空いていて嬉しいものの、それ以上の嬉しポイントをあまり見つけられません。

寒風吹きすさぶ露天風呂で普通紙のごとき外界を見つめるのと、ほどよく気温の下がってきた夏の夕暮れ時に洞爺湖を眺めてぽへら~とするのでは満足度が明らかに異なります。網膜くんも良い景色を結像して喜んでいます。冬も晴れた日ならかなり良さそう。

夕食バイキング'95

油断するとすぐ中華寄りになる

水とお湯で3~4時間ぼんやりし倒したのち、夕食です。ビールとの相性を考えてたらお盆の上が茶色になっちゃった。

スポーツライブプラス「カープ・新井監督に直撃!即席応援団とスクワット応援?!【真中満が行く】」

https://youtu.be/b0RUVRegyq0

ナスのムニョムニョをおかわりして食べていたところ、引かれました。

夏だぞ。

野菜だぞ。

ナス科だぞ。

バイキングだぞ。

今しこたま食べないでどうする。ナス科の野菜あったら当然めちゃくちゃ食べちゃうじゃないですか。こちらがお盆一枚分を食べている間にモリモリと四枚積み重ねている貴様にドン引かれる筋合いはない……。

四枚て。バイキング観の違いで解散することはありませんが、すご過ぎる。

三者三葉』において「腹黒委員長」「貧乏毎日パンの耳」と並び立つ称号に「胃袋ブラックホール」がありますが、ぱにろくさんは決して宇宙を消化器に秘めてなどいません。この後、順当に食べ過ぎで壊れています。彼とバイキングつきで泊まると毎回そうかも。バイキングついてなくてもそうかも。ザ・食い倒れ。ちょっと古めのダイソーで売れます。

この手のね(2022/9/12 枝幸)

サンパレスの夕食で絶対に食べておきたいのが、壮瞥産りんごを使ったアップルパイです。

既刊にもちらっと登場しました。バラ科OK人間はデザートコーナーの全てを無視してでも食べるべきだと思うし、甘味用の別腹を普段持ち合わせていない人はおなかの不動産屋さんから土地を買って用意しておくべきです。

2023/11/24

花火の時間が近づいています。夏の洞爺湖では湖上に船を走らせ花火を打ち上げており、そのフィナーレはサンパレスの目の前です。これを狙って日取りを決めたわけではなく、夏中、いや雪のない間中開催しています。

期間は4/28から10/31まで。しかも毎日。大会名は「洞爺湖ロングラン花火大会」。ロングランって言ったって、いくらなんでも長すぎる。でも、いつ行っても花火が観られてOK。小学生のころの記憶にも、湖上に咲く花々は鮮明に焼き付いています。

サンパレスの地下1Fには湖畔直結の扉があり、徒歩0分で大会会場に到着します。誘蛾灯に誘い寄せられる虫たちの如く外へ出る人、人、人。敷地内から花火を観られるってんなら、みんな出ますよね。みんなそそのかされちまう ついつい流されちまう 結局暑さでまいっちまう 誰のせい?それはあれだ!夏のせい

洞爺湖温泉の西方からスタート

色形はそれぞれ

生きてる証を叫ぶように

真っ正面でフィナーレ

カーテン閉め忘れて3:45に起きた

お山と熊さん

週間予報は晴ればかり……ではなく、晴れた壮瞥を見るのは十数年ぶりです。

昨年あった二回の滞在は土砂降り・吹雪であって、この回の前週に訪れた際もめちゃくちゃ雨が降っていました。

雨降りの隙を突いてりんごに狩られる筆者(2024/7/6)

このOKお天気を逃すまいと、翌朝はタクシーで昭和新山熊牧場へ。

ここの熊さん方には昨年もお目にかかりましたが、スーパー雨降りのなか駆け足で巡ったため、かなり消化不良です。ひさご(町唯一の居酒屋)のoji3と熊牧場の社長と事務所内でコーヒーを飲み、滞在時間の75%を消費しました。前週に当地で撮影された良過ぎるポストカードを入手したこともあり、熊牧場欲はピークに達していました。

(おいしい!)

うまいベアー

それにしても暑い!熊さん方も大概暑そうにしています。

水にうたれてみたり、

(その目は優しかった)

日陰でへちょってみたり、

だいぶへちょい

穴に半分入ってみたり。

日陰だとコンクリは冷たくてよさそう

暑さにめげない熊さんもあり、元気に挙手。寝っ転がったまま挙手。すごい。横着熊(おうちゃぐま)。

温泉で知り合いが入って来た時のお年寄りみたい

🥵

ああ~

 

熊牧場のすぐそばには、有珠山ロープウェイのりばがあります。当地を発つ時間は迫っていたものの、30分以内で往復できるとあっては、乗らないという選択を取る理由がありません。

ここ数年でゴンドラも乗り場まわりも新しくなっているらしく、メニメニわげもの押し寄せています。改札列に30人弱並んでおり、ゴンドラ内では窓際が全部埋まりきるくらいの混雑。

離合(山頂からの戻り時)

ガラスの箱が有珠山をぬりぬりと登るにつれ、むろん昭和新山が視界に飛び込んできますが、その向こうに目を凝らすと吉。壮瞥市街もよく見えます。

壮瞥の役場から昭和新山山頂まで約2kmしかありません。火山と町場が近すぎる。あるときは恩恵、またあるときは厄難を受けながら、ともに暮らしています。

市街地が近いよ

壮瞥市街から見た昭和新山(2024/7/6)

山頂駅の周りがいい感じになっていました。爆速で退散するのがもったいない。次回はちゃんと時間を取ります。

想像の10倍くらい人がいる

折り返しの便でそそくさと有珠山を降りて爆発的無料を見たのち、この日の本題に入ります。BBQとさくらんぼ狩りです。『木下ひなたさんの(祝!)壮瞥町りんご大使おめでとうの本』制作でもお世話になったまえはしさん(そうべつアウトドアネットワーク)の車に乗り込み、BBQ会場・森と木の里センターへ。

_人人_
> 無 <
> 料 <
 ̄Y^Y ̄

森と木の里センターの天文台。金曜開放らしい

夏野菜・フェスティバル

まずは「元祖ぐる巻きソーセージ」から。虻田市街(洞爺駅周辺)に店を構える「お肉屋さん たどころ」が製造する、その名の通りぐるぐる巻きのソーセージです。2000年の有珠山噴火を発端として作られたとのこと。

ギョウジャニンニクがきいていてyoi

網の下に見えるアルミホイルはタマネギ

あ!ナスがいますよ。ナス。なげ~ナス。嬉しい~。

お名前を「ふわとろ長」といいます。特徴が一発で分かる、よいネーミング。

たまにすごい名前した蔬菜の種ありますよね。トップギアブロッコリー)とか、タマネギのジェットボール(極早生)・マッハ(早生)・スマッシュ(中早生)・ターボ(中生)・パワー(中晩生)とか。ナスでは「ボーナス」があります。ボーナスさんの形状が棒とは程遠く、限りなく球に近い点にまったく納得いっていません。草勢に対してよく実生りするからボーナスなのかなあ。

 

ナス、いつからこんなに好きになったんだろう。かつては意味が解らなくて怖い部門筆頭の野菜でした。同部門には他にカリフラワー(脱退済)、オクラ(現役)など。

味はとっても良いです。穏やかな甘み。問題は外見のイメージと食感の乖離です。てらてらと黒光りする皮にふかふかの白い謎が包まれており、パッと見の印象に対して食感があまりにも優しすぎる。光沢のある外見には歯応えを求めていたようです。事実、ミニトマトやピーマンといった、ピカピカ・パリパリ野菜は好んでいました。その対極にあるのがナスで、余計に混乱していたのかもしれません。

おまけにデカいときた。まったく腑に落ちない。図体の大きな野菜について、漫画家の安野モヨコ氏は

どうも中身がフカフカしていて食べてみれば間が抜けているのではないかと想像する

(『くいいじ』)

と述べており、小さき時分の39MLも大方このような思いでいました。

外見と食感を切り離すのに、ずいぶん時間がかかりました。ミニトマトミニトマト。ピーマンはピーマン。ナスはナス。みんな違ってみんないい。しかしこやつら全員ナス科です。仲間なの!? 科名の親玉だけ食べられないでいるのもおかしいと思って、それから嬉しく食べるようになりました。こうしてよくよく考えてみれば、脳内で未分類のままある物体に対する恐怖が、ナスを39MLから遠ざけていたのでした。

うれしすぎる

ナスだけではなく、壮瞥、大滝などで採れた地の野菜がさまざまに登場します。野菜がおいしいBBQ、うれしい。

たとえBBQであっても、みずみずしさそのままに取り込んでしまって構わない

ズッキーニをナスの親戚(意味不明仲間)だと思っていた時期がわたしにもありました

もちろん、お肉もいます。豚と羊が来ました。羊は「あづまジンギスカン」です。同じ胆振厚真町(公式の町名読みは"あつま"だけど、どうしても"あづま"って言っちゃう)で製造されるジンギスカンで、たれには壮瞥のりんごが用いられています。

azuma-j.net


そういえば、調味料の中に我らが源たれもありました。壮瞥のAマートでも取扱っているらしい。

あれば使ってしまう

 

かなり満足しましたが、ここで満腹を作れば大変です。さくらんぼ狩りがあります。ただし、さくらんぼは気づいたら30個くらい平気で食べてしまうため、満腹にしてもいいかもしれません。

BBQをした森と木の里センターは宿泊も可

すっぱいさくらんぼにご執心

さくらんぼ狩りを兼ねた果樹園散策は、タカシナ観光果樹園さんで行われました。

リンゴ、ブドウ、オウトウ(さくらんぼ)、プルーン、プラムなどを栽培しており、訪れた7月中旬はさくらんぼ狩りが終盤に差し掛かる頃合い。今年のさくらんぼは早いと代表は仰っていました。本当に早い。6月下旬に札幌の家へ行ったところ、庭のさくらんぼは完全にピークを迎えていました。庭に一本きり立つ樹に雨除けなどしていませんから、急いで収穫しつつ、脚立の上で大量のさくらんぼを食べました。

家のさくらんぼ(2024/6/22)

各種果樹の生育・作柄状況、品種ごとの特徴など、代表自ら園地をご案内いただきました。興味のままに色々聞けば、ぱにろくさんを置いてけぼりにしかねません。やや後方から微笑みを湛えつつ、写真を撮る係に回りました(が、灌水や防除について我慢できず聞いてしまった)。

プルーン。昨年の暑さを引きずってか、全然生っていないとのこと

ブドウはスチューベン・シャインマスカット・ナイアガラなど。品種を示すテープは特注

マメコバチさんは新しい巣箱を好みがちらしい

阿波国貫流する用水路。ここから取水して園地を潤す

胴腐らん(腐らん病のうち、発病部位が主幹や主枝のもの)を処置したリンゴ樹。削った部位に薬剤を塗布して保護

30分に亘り、さくらんぼを爆食しました。実が残っている樹は佐藤錦・紅秀峰が主。園地をぐるぐる歩きながら、よさそうな果実を見つけるなりめちめち枝から外し、むごむご食べます。

紅い!

途中から月山錦(がっさんにしき)という品種の黄色い果実をひたすらに探していましたが、どうやら遅かったようです。

嬉しかったのは寿錦(いわいにしき)があったこと。月山錦の兄弟とも言える品種で、市場にはなかなか出回りません。甘味と酸味の両方が濃厚に出る上、プチプチした歯応えでうれしい。果樹には酸味を求める傾向にあります。りんごなら紅玉好きだし。

寿錦は狩って帰りました かわいいね おいしいね

かえります

さくらんぼ狩り終了後、定休日ながらミナミナさんの祭壇を見せていただきました。日を追うごとにグッズの数は増しています。なんなら前週より増えています。すごい。

2024/7/6。バースデー装飾がうれしい

2024/7/15。

6月に新しくできた「まちなか交流館VALOA」さんにもお邪魔しました。「Shop in ふじかわ」が目印。ここも前週に訪れており、話の流れで(?)『~おめでとうの本』『徘徊通信 2024 芒種の号』を置かせてもらっています。

うどん屋さんの日もある(2024/7/6)

!?

!?

急に己と遭遇しました。売られているカード立ての使用例として、39MLの名刺が起用されています。なぜ?それでいいのか?いいのか。ありがとうございます。

 

水のラウンジ「洸響」。カフェがある

りんごめぐりのA賞賞品になった「洞爺湖 鶴雅リゾート 洸の謌」にも寄り道(サンパレスはB賞)。泊まらずとも利用可能な店舗や施設を併設しています。

「洸の庭」と名付けられた空間もyoi。空へ向かって伸びる「洸の路」が目を惹きます。先端部はやや広くなっており「洞爺テラス」と名付けられています。

洸の路

洞爺テラスより

これで2日目はおしまい。まえはしさんに洞爺の駅まで送っていただき「居酒屋だけど大丈夫ですか」と心配される不思議なお店でお酒を飲んで帰りました。

 

昨秋の訪問では、りんごを軸として壮瞥を見ました。今回、りんご以外の様々な魅力に触れることができ、また異なる顔を見たような気がします。次の訪問ではどのような壮瞥を見られるのか、今から楽しみです。

西胆振だと黄昏時まで滞在しても帰れて気楽


おまけ

生廿き瞥E 町 広\゚場-パク- こグ カレ' ルフフ場昜

(まにあうのか?)(この記事をもう少しちゃんとしたバージョンが載ると思います)

【おしらせ】文フリ岩手9と北ティア19に出ます【新刊あり】

こんにちは。子ヤギがばきょんばきょん跳ねる動画だけを見て活動時間の全てを消費する日があります。みくまりです。


来る6月16日(盛岡市岩手県産業会館(サンビル)7F大ボールにて開催される文学フリマ岩手9に参加します。配置はD-12。翌週の23日(は、札幌市白石区札幌コンベンションセンターにて開催される北海道COMITIA19に参加します。H02です。頒布物はどちらも全く同じになる予定です。

おしながき

文フリ岩手のカタログにも頒布物一覧が生えています。

c.bunfree.net

新刊

『徘徊通信 2024芒種の号』を頒布します。

季節感ゼロの表紙が目印

もくじ

特集は「めり込む島根、のり込むわたし」

すごい勢いで脳にめり込んで、なかなか取る機会のなかった島根。己のゆかりの地でありながら、その中身を全くと言っていいほど知りませんでした。十数年の時を経て、ようやく訪れる時がきました。バスにのり込み、山をかき分け、邑智郡は邑南町へ。

原稿を寝かせている間に「○○ればいいのに……」が流行してしまった おい

文字が少ないページもある

 

新連載「は立のお派なし[mini]」が始まります。第一回は「派立と呼ばれ続けた町」(弘前市茂森新町・太田市尾島地区)。
既刊『は立のお派なし』では「派立」なる地名や制度を取り上げました。それに関連したモノ・コトについて、一回一テーマで紹介する連載です。

第一回では、そのものずばり「派立」と長らく呼ばれ続けた町、弘前市茂森新町を見てみましょう。遠く離れた群馬県太田市とも関係がありそうです。

 

これまた新連載「徘徊と音楽」徘徊と、そのきっかけになった楽曲、また道中に聴いていた楽曲の話。Astrow『星降る丘へ』にちなんだ話をしています。


既刊

『徘徊通信 2024春分の号』『横山学考 準備号』『八潮市垳の本 垳ときどき桁?』『木下ひなたさんの(祝!)壮瞥町りんご大使おめでとうの本』を持っていきます。『さっぽろのカードの本 WITH US』は残部僅少につき見送りました(そのうちに増訂版を出す予定です)。


受託

「逍遥俱楽部」「しらゆき創作工房」の2サークルより2点ずつ、計4点を受託し頒布します。逍遥俱楽部のすくとりさんは盛岡・札幌ともに参加し、39MLの介護をしてくれる予定です。

 

同時頒布

23日(札幌北海道COMITIA19が、東京IDOL STAR
FESTIV@L 12がそれぞれ開催されます。そこで、『木下ひなたさんの(祝!)壮瞥町りんご大使おめでとうの本』を同時多発的に頒布することとしました。ISFでは、本誌の共著者・ぱにろくさんのサークル「えっぐぱにーの」(E-24)にて頒布を行います。

 

通販

新刊『徘徊通信 2024芒種の号』BOOTHにて予約受付中です。電子版については、文学フリマ岩手の閉会後に準備が整い次第ページを開ける予定です。

サンプルはもう読めます。1~15・30・34・35ページを公開しています。ただし、無料で誰でも読めてしまう都合上、モザイクをかけている箇所がいくつかあります。

390000ml.booth.pm


C104のはなし

C104は申し込みませんでした。「定礎マップProject」に拾ってもらい、2日目パ-21abにいる予定です。横山本が出ればよいですが、まだ難航しています。『徘徊通信2024立秋の号』が生えるかもしれません。

 

きてね~

 

2024/6/14追記:本を買うと「健康」のコースター 2冊以上ならばタオルがつきます

2024/6/16訂正:新刊「徘徊通信 2024芒種の号」の現地頒価を600円から500円にしました

 

子ヤギがばきょんばきょん跳ねる動画

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長者番付を壊して村の財政を救おう!

『尾崎村誌』をぼんやり眺めていたところ、長者番付がありました。

明治24年(1891)に調査された「尾崎村四ケ村地租額十五円以上担税者」をまとめたもので、地租を15円以上納めたパワフル人間の番付が掲載されています。地租は固定資産税の前身のひとつで、土地に対してかけられる税金です。

尾崎村四ケ村地租額十五円以上担税者

当時の尾崎村には、尾崎(おさき)・新屋(あらや)・平田森(ひらたもり)・町居(まちい)の4大字があり、15円以上を納めた人はそれぞれ14名・16名・16名・22名でした。

大字別担税者・地租額

担税者が突出して多い町居は、地租額でも番付全体の41.5%を占めます。6名いる三役のうち、大関2名・小結2名が町居在住です。


さて、もし町居が尾崎村から消えてしまえば、村の財政はどうなるでしょうか。どう考えても大変です。そして、実際大変になっています。

明治28年(1895)、町居は尾崎村から竹館村に分割・編入され、さらに34年(1901)には竹館村からも剥がれて町居村として独立しました。分割後に発生した尾崎村の難儀は、時の内務大臣・板垣退助に宛てた上申書から窺い知ることができます。

南津軽郡尾崎村ハ分割処分之結果ト共ニ苛酷ノ課税ヲ負担シアル事ハ曽テ以来屢上陳スル処(中略)負担之重キニ泣カントス(中略)民苟モ疲弊セバ国家何ヲ以テ安寧ヲ維持センヤ(中略)尾崎村ハ此之如キ課税之負担ナラヲ以テ民悉ク困セサルナシ

(葛西豊造, 八木橋善一, 青森県南津軽郡尾崎村: 「上申書」明治29年(1896)4月20日

これを解決するには、長者番付を破壊し、都合のよい地租額を捏造する必要がありそうです。

姓名に含まれる漢数字を利用してみましょう。尾崎には「八木橋」姓が多く、これを使わない手はありません。

つまり、担税者の姓名が数にまつわる文字を含んでいるとき、その数だけ地租額を増してもよいことにすれば、尾崎村の財政にも一筋の光が差すはずです。

例えば、尾崎の八木橋八十司氏は60円を納めていますが、姓名に「八」「八十」があるため、88円も増すことができます。新たな地租額は148円となり、町居の奈良忠之助氏(138円)を凌いで大関に昇進します。

一方、新屋の斎藤半次郎氏(16円)は、「半」のデバフがかかって8円になってしまいます。功罪ありそうです。ルールが分かったところで、早速やってみましょう。

八木橋魚店(尾崎)

結果

!?


新屋の葛西万左エ門氏(18円→10,018円)、平田森の斎藤万吉氏(21円→10,021円)がそれ以外の全てを無にしています。先述のデバフが効いた人間が斎藤半次郎氏の一名のみであったことも功を奏し、町居を除いた新尾崎村では、もともと納められていた地租額から14倍にも膨れ上がりました。

これで尾崎村の財政問題は解決です。尾崎にあっても、八木橋姓六名のほか、長内治五兵衛氏などの活躍で565円が719円になりました。概ねこれくらいの上がり幅を想定してたんだけどな……。

なお、明治24年度における内務省鉄道庁予算のうち「俸給及諸給」は22,349円90銭ですから、尾崎村の高額担税者でそのほとんどを賄えることになりますし、町居を含めば上回ります。

町居もいい感じです。1094円→1308円と、そこそこ増えています。竹館村に編入された町居も、経費の負担割合が尾崎村時代よりも増えていることを訴えていましたから、これでなんとかなるでしょう。

「大字町居ハ竹館村ニ編入以来分割以前ノ経費負担額ヨリ重税ヲ受ケルノ事実ヲ発見シタリ」
(竹村精一ほか: 「青森県南津軽郡尾崎村大字町居境界変更ノ件復旧ノ儀ニ付誓願明治29年(1896)5月)

 

最後に、新たな地租額を反映した番付表を見ます。

斎藤万吉・葛西万左エ門の両氏がぶっちぎりで大関の座を手にしています。ここまで引き離せば横綱でもいい気はしますが、まあよしとしましょう。

88円増で関脇に昇進した八木橋八十司氏を筆頭に、八木橋姓がよく上がっており、目論見通りという感があります。地租額が半減した斎藤半次郎氏も、考えようによっては納める税金が少なくなって喜んでいるかもしれません。

みなさんも、村の財政に困ったときは長者番付を壊してみてください(終)

 

参考文献
成田末五郎編(1956)『尾崎村誌』尾崎村文化研究同志会
八木橋正隆(1994)「吾家に残る古文書」平賀郷土史研究会『平賀郷土史』第9号
国立公文書館デジタルアーカイブ「各省予算報告書・明治二十四年度歳入歳出総予算」 

https://www.digital.archives.go.jp/file/2525911.html

(2024-05-20閲覧)

 

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