キュウリの血と肉

モッス・カプロョモール・エニスポラ

元気、励起、渡辺正行

「元気?」

「元気のことと思います」

「お元気ですか」

最近、私のことを心配してくれる人から連絡が時折来ています。

親だったり、友人だったり。とてもありがたいことです。

 

しかし、「元気?」と聞かれれば返答に困るものです。あんまし元気でないのに元気だと答えれば嘘になるし、元気じゃないと言えばただでさえ心配してくれている人がもっと心配になってしまうし。「ぼちぼち」といってやり過ごしています。

心配だから本当のことを話してと言われたので本当のことをしゃべったら、しばらくして「もうこっちが病気になりそう」と言われてしまいました。「こっちが気にかけているのに、元気にならないとは何事だ」と怒られているようで、怖くなりました。

 

心配するほうもされるほうも「元気」に縛られています。ウニョンな人に元気になってほしいと思うのは当たり前です。私も「元気になりたいなあ」と思っています。元気になったら死ねるかもなあとも思っています。

「元気な状態」が正常だと思われているのは、なかなか難儀なことだなあと思います。そういう人は「暮らしている=元気」と思い込んでいる可能性が高いからです。いつでも励起状態。元気になる努力や保つ努力が必要な人もあります。元気になるために力が要る人がいることがあまり知られていません。元気な状態がデフォルトの人には分からない話かもしれません。「今元気じゃないから、ちょっと待って」と言うと「今話したりひとり暮らしできているのに、なんで元気じゃないの?」のような反応が返ってくることもあります。基底状態をやっと保っている人に、年中励起状態の人の何気ない一言が刺さります。

 

やだなあ、元気なんて言葉がなければよかったのになあ。普通の人は元気なんて設定もなければよかったのになあ。あとチーズバーガーもいらない。

 

みんな、元気でえらい。でも、たまには元気にならなくていい日を作るとよいです。充電しっぱなしの電池がすぐだめになるのと一緒です。元気がデフォルトの人は周りにそうでない人があるかもしれないと心に留めてもらえるとありがたいです。何卒よろしくお願いします。