キュウリの血と肉

モッス・カプロョモール・エニスポラ

トイレット枯れ尾花大学

怖いと思い込んでいるものは大体が一度正体を見破れば怖くないものです。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ってやつです。

 

大学進学を機に引越しをしまして、年季の入ったアパートに住んでいます。夜寝ていますと突然ガゴッと音がしたりキュルキュルキュル…と部屋が鳴いたりするものですから不審に思って眠れないこともありました。うたぐり深い性格の人間なので天井と屋根の間に人がいるのでは?とか天井が落ちてくるのでは?とか心配になると嫌な想像が連鎖して最後には自分の墓が荒らされてしまうのです。

ある日トイレに入った時のことです。ドアに頭を強打しました。すると、例のキュルキュル音が途端に始まったのです。音鳴りのする上を見れば換気扇の蓋のねじが微妙に回り切っておらず揺れたり中で羽が擦れたりしているではありませんか。これが不審な音の正体だと分かった瞬間、ぐっすり眠れるようになりました。ちょうど1か月前の出来事でした。

この場合は「幽霊の正体見たりトイレット」というわけです。

 

大学といえば、前期のある時期に謎の恐怖から突然講義に出ることが出来なくなってしまい、自主休講を何週間も続けてしまう事態に陥っていました。高校時代も定期的に起きていたので驚きはしませんでしたが、単位の危機が迫ると段々焦りを感じるようになりました。一体どうすればすぐに講義に出席できるようになるのか。ずっと大学の食堂で悩んでいました。

大学の食堂で。講義に出られなくても、ごはんを食べに大学に行くことはできました。これは高校でも同様で、とりあえず学校に行こうと思うのですが教室には足を踏み入れることができないというわけです。

これに気づいたとき、名案が浮かびました。ごはんを食堂ではなく教室で食べればいいのです。生協のコンビニ店舗や書店店舗ではお弁当を売っていますから、それを教室で食べれば食堂と同じ感覚で講義に出られるのではという算段です。

お弁当をコンビニ店舗で購入し、「ごはんを食べに来た」ということだけを考えて講義の始まるだいぶ前に教室に向かいます。教室を食堂の別館(?)だと言い聞かせて入り、席に座ってお弁当を食べれば、そのうちに講義が始まって無事出席することができました。恐怖を思い込みで解決することに成功したと言えます。

こちらの場合は「大学の正体見たり定食屋」とでも言っておきましょうか。

 

なにが言いたかったのかといえば、自分の生きている世界は割と思い込みに支配されているのではないか、ということです。隣りから聞こえる気がしている騒音はもしかしたら自分の耳鳴りかもしれないし、玄関のドアだと思っているものはもしかしたらめちゃくちゃ大きく刷った文庫本かもしれません。

正体を見破ると心労の少ない生活を送れます。しかし無闇に正体を見破ることは逆に夢を自らぶち壊すことに繋がる可能性がありますから、注意が必要です。正しく見破って人生を楽しくしたいものです。

何らかの文字で埋めなければ先に進むことができない、しかし思案を巡らせる時間をとるほどでもない。そんなことがよくあります。

まったく意識していないのですが、適当に「ゆ」で埋めることが非常に多いのです。

 

「ゆ」

 

Wikipediaさんが「ゆ、ユは、日本語の音節のひとつであり、仮名のひとつである。1モーラを形成する。五十音図において第8行第3段(や行う段)に位置する。」と語っている文字。「あ」「ん」のように目立つ位置にあるわけでもなく、書こうにも「い」「こ」「し」「り」のように単純な動きをするわけでもない「ゆ」はなぜ選ばれし文字になったのでしょうか。音節と首都って似てますね。日本語の首都のひとつ「ゆ」。ウランバートルヤウンデ、東京、ゆ。人口が730人くらいしかいなさそうな響きです。

 

選ばれし文字、最後の3文字をとって下地には一体どんな魅力があるのでしょう。「ゆ」を下地に任命した自分でもよくわかりません。

ふと、適当に思い浮かぶ「ゆ」が入る言葉に抱いている感情がそうさせているのではないかと思いつきました。

友愛…鳩山さんは政治家をやらなければ好きです。

湯木町…さいたま市のなかでかなり好きな地名。荒川より向こうにあるので治水橋を渡ります。

ゆず茶…めちゃくちゃ好き。知り合いのおうちに柚子がいっぱいなるのでいっぱい飲めます。

ゆっこ…シャケ・焼きサバ・ゆるしてヒヤシンス。すき。

弓矢…小学生の頃は校庭に生えてる植物の茎とかで作って遊んでました。武器の中では割と好きかも。

おかゆ…大好物です。最近スーパーでパックに入っている白粥をみつけて買ったので、明日食べようと思います。

以上の評価を「ゆ」にも同様に適用できるならば、「ゆ」は相当評価の高い文字だと言えそうです。下地の素質あり。

 

もしかすると、発音のしやすさもあるのかもしれません。滑舌が悪い私でも簡単に発音できるのは「あ」「い」「う」「え」「お」「す」「は」「ひ」「ふ」「へ」「ほ」「み」「も」「や」「ゆ」「よ」「わ」「を」「ん」くらいなものです。口を開けっ放しで発音できるのが利点。ヤ行はゐ・ゑを気にしないことにして全員該当していますから、かなり可能性があります。

 

素行優秀、口腔と声帯に優しい。2つ揃うと下地の試験があるならば推薦で合格できそうな感じがします。「ゆ」は普段気にしていないだけですごく好きな文字だったのです。

 

今度ブログを新たに開設して初めの記事をどうしようかと思った時「とりあえず「ゆ」で埋めておいて、記事を書いていくうちに思いついたら置換しよう」という気持ちで「ゆ」をタイトルの欄に打ちました。しかし記事を書き終えて今、タイトルは「ゆ」でいこう、という気持ちになっています。普段ぞんざいに扱っていることに気づいたので、せめてもの罪滅ぼしのつもりです。「ゆ」、ありがとうございます。これからも下地であっていただきたいと思います。